榎本先生は、音楽を愛し、生かされている悦びからわき出るインスピレーションによって、数え切れないほどたくさんのメロディーを作曲し、楽譜に書き残されました。楽譜は印刷された五線紙を使わず、定規も使わず、フリーハンドで五線を書き、それにオタマジャクシを手書きで書かれたものです。すべてヘ長調で、ほとんどは４分の４拍子の単純なメロディーですが、その数は１千曲を超えているようです。 　「先生は、作曲される（曲を作る）のではなく、その清らかなる世界にメロディが喜んで光となって天降り、それを書きあらわされたのが「曲」で、先生の祈りとなっているのですね。」 　と、福場江三子さん（榎本先生の曲を多数編曲・演奏されている音楽家）は言っておられます。

「母に」　（榎本先生の声入り）――楽譜は榎本先生自筆の原譜のコピー ＜編曲ならびにピアノ演奏：福場江三子＞

写真は、宇治の三室戸寺に咲いた蓮華の花。2006年7月10日、大谷敦子撮影